◆ 因果関係の評価◆

まず、副作用を疑う場合、薬剤と起こった事象との間に因果関係が成立しているのかどうか、【副作用の確定度】1を満たしていることが大前提となります。その上で評価判定を以下の5段階で行ってください。よく知られた副作用症状である場合に、「ほぼ確実」と評価されていたり、「関係なし」と判断したものがデータとして報告されているものがあります。

【副作用の確定度】

1.薬剤投与以降に発現した症状である。

2.疾患による症状とは考えられない。

3.他の薬剤による症状であることは否定できた。

【評価判定基準】

1.確実 :誘発試験にて陽性を示した。投与局部に特異反応が確認された。病理組織で薬剤による障害が確認された。

2.ほぼ確実 :臨床疾患からも説明できるが再投与で発現する1)。過去に同一薬剤で同様の症状が出現したことがある。

3.可能性あり:投与中止により軽快し、使用薬剤以外の原因が考えられない。

4.不明 :臨床疾患からも説明できる。医薬品の既知の副作用ではない2)。

5.関係なし :投与と副作用発現の時間的経過が成立しない。投与中止により軽快しない。

注 1)「処方薬を自己中止し再度試した」「飲むたびに起こる」などの訴えは結構多いと思いますが、疾患の状態や他の要因などが同様の状況下での事象ととらえ、この場合は「再投与-再現=ほぼ確実」ではなく「可能性あり」と評価してください。

2)既知の副作用である場合もあります。臨床疾患からも説明できるが副作用の可能性を完全に否定できない場合は「不明」としてください。

 どんなによく知られた典型的な副作用症状と考えられても、病理診断、パッチテストなどの特異反応(確実)、再投与による再現(ほぼ確実)などで確認していないものはすべて、「可能性あり」です。またDLST については、信頼性はそう高いとは言えず、特異度も限定されたものです。DLST 陽性であっても「ほぼ確実」ではなく評価は「可能性あり」とします。

 明らかに「関係がない」、つまり起こった症状と薬剤との間に因果関係がないものは全日本副作用モニターには報告しないでください。「不明」については、未知の副作用の可能性が考えられるもの、薬理作用から考え完全に否定できないものなど、特に新薬や今後問題となるかもしれないと判断したものは報告をお願いします。その際、経過欄に検討した内容をコメントしてください。

サイト目次